英語の冠詞「a」は、日本語には「1つの~」「ある~」などと訳され、名詞の前につけて使われますね?
「the」との使いわけが難しい時があり、ご苦労されている方も少なくないと思います。
もう1つ「a」との使い分けがあるのが「an」です。
定冠詞「the」に対して、「a」「an」は不定冠詞と呼ばれます。
不定冠詞は、あとに続く名詞が子音から始まれば「a」、母音から始まれば「an」と、至極分かりやすいルールで運用されているので、あまり悩むことってないのではないでしょうか?
では、あとに続く単語が「X」のように、文字は子音だけど読みは母音から始まるような単語だったらどうでしょう?
今回は、こういったケースでどちらを使うのが正しいか、またその理由などを解説します。
「X(エックス)」の前につく冠詞は「a」なのか?「an」なのか?
結論から先に言ってしまいます。
「X」の前につく不定冠詞は、「an」になります。
つまり、「an X (アン エックス)」とするのが正解です。
文章の中で使うと、
take an X-ray photograph (X線写真を撮る)
のようになります。
他にも、
- F(エフ)
- H(エイチ)
- R(アール)
- S(エス)
のように、アルファベットとして読んだときに母音から始まるものはいくつかありますね。
これらも、文章の中でアルファベットとして読ませる場合の不定冠詞は「an」になります。
いくつか例をあげると、
- an FAQ
- an RPG game
- an S-curve
- an XML document
といった感じですね。
「X」の前につくのは何故「an」になるのか?
簡単に言ってしまえば、「a」だと読みづらいからです。
今回はXのようなアルファベット読みの場合に焦点をあてましたが、たとえば、1時間を表す「an hour」は、やはり「an」を使いますよね?
「ア アップル」「ア エッグ」のように、母音が続いてしまうと口を開いたままの発音が続くので、特に英語圏では強い違和感があるようです。
日本人の中にはあまり違和感を感じないという方もいるかもしれませんが、流れるように話すネイティブスピーカーにとっては、かなりしゃべりづらさを感じるもののようです。
そういった理由から、「a」ではなく「an」を使う判断基準は、文字ではなく発音が母音から始まるかどうか、なのです。
ネイティブにも分からないことだってある
この「Xの不定冠詞」問題を私が知ることになったのは、職場のイギリス人同僚の指摘からでした。
欧州勤務だった当時、まだ英語でのメールに自信のなかった私は、仲の良かったその同僚に可能な範囲でメールの添削をお願いしていたのです。
ある技術的な内容のメールを見てもらった時に、彼が指摘してくれたのが、私の書いた文章の中にあった「a X」という部分でした。
ただ、その時の指摘は「これは間違ってる」というのではなく、「これはどっちか分からないからちょっと確認してみる」というものでした。
彼は英語を母国語にしていたので、通常「a」と「an」の使い分けなど考えるまでもないはずですが、Xという一文字に対してどちらを使うのが正しいのかは、確証が持てなかったのです。
結局、ネットで調べてくれて、上に書いたような内容のことを説明してくれたのですが、「ネイティブにも分からないことがあるんだな」と、まあまあ当たり前のことを知る機会にもなりました。
私たち日本人にだって、日本語で分からないことなんて数えきれないほどあるわけですから、英語圏の人間だってそれは同じことなはずですよね。
anを使うのは、あとに続く単語の発音が母音から始まる場合
というわけでまとめとしては、
不定冠詞「an」を使うのが、あとに続く単語の文字ではなく、発音が母音から始まる場合
という事になります。
もともと「発音のしやすさ」が目的で「an」を使うので、迷ったときはしゃべりやすい方を選べばだいたい合っていることでしょう。
そもそもこの問題は、間違ったとしても文章の意味には何の影響も与えないので、過度に気にしすぎることはありませんよね。
などと言っては元も子もないですが。